しっぽを5針・・・

 

 

ベルのわが家でのニックネームは、「金魚のふん!」

私の行くとこ、行くとこ着いてまわる。

 

ある初夏の日の午後台風のような強い風が吹いていたある日、

離れの仕事場に行こうとした時

めずらしくベルは、私と距離をおいていて着いてくる気配がなかった。

リビングからほんの1メートル程の渡り廊下の先に、その離れのドアがある。

その場所は、わが家で一番風通しが良く、夏の暑い日、ラヴィが涼む場所だ。

でもその日は、突風のようだった・・・

ドアを開けて仕事場に入る時、一瞬の油断があった。

ベルが私の脇をすごい勢いで走り抜けた。

そして、なぜか・・・

部屋の入口で止まった。

いつもなら、ドアと反対側のソファーに飛び乗るのに・・・

・・・・・

すごい勢いでバタンとしまったドアに、ベルのしっぽが挟まれた。

・・・・・

“キャイ〜〜〜〜〜ン!”

私が気づいて助けようとする間もなく、

鳴き声を上げると同時に、

ベルは自分で引っ張って挟まれたドアからしっぽを抜いた。

ベルの様子を見て、私は全身の血の気がひいた。

しっぽから『血が飛び散っている!』

私の『どうした?』の言葉に驚いて、

部屋の角のパソコンのラックの下にもぐり込んだ。

私が側に行くと、ベルはしっぽを振った

しっぽを振るともっと血が飛び散る!

私は“振らないで、振らないで・・・”と繰り返した。

でも私の声を聞くと、もっとしっぽを振る。

私は、涙がボロボロ、冷や汗がポタポタ落ちた。

私の不注意でケガをして、痛いはずなのに、ベルはしっぽを振り続ける。

“振らないで、振らないで・・・”と言い続けながら、車で病院へ急いだ。

 

ベルはしっぽを『5針縫った!』

 

--------

 

あとがき

 

待合い室で待ってる時、他の人に声をかけられた。

“どうしたの?”

すると、その人にもベルはしっぽを振った。

私は、不覚にもまた思わず涙が溢れてしまった。

どうして、こんなに人間が好きなんだろう・・・

 

私はそんなラブが大好き!

 

--------

 

後悔と反省

 

あの時、リビングから私を見ていたベル

“すぐ来るから待っててね”

こんな言葉をついかけてしまったことを後悔

そして“マテ”と

はっきり命令を出さなかったことを反省

 

 

 

backもどる                      つぎへnext